君が周りの人に「死にたい」と言えば
たぶん みんな 口を揃えて言うだろう
命を粗末にするな 人生を大切に生きろ と
*
でも
同級生にはいじめられるし やることなすことツイてない
好きな人には振られ 仕事もクビになった
努力すればいい、って言うけれど
今さら どこを どう直せばいいのか 分からない
そんな気力すら湧いてこない
こんなんで頑張っても知れてるし
オレみたいな人間は生きていても仕方ない
だから死のう
どうせオレが死んだって 周りのヤツは気付きさえしない
ほらやっぱり負け犬だって 笑われて終わり
だったらヤツらの笑い声が聞こえない所に行ってしまおう
こんなクソみたいな世の中も 自分とも お別れだ
etc
*
だけどね
「死にたい」って気持ちは 一番人間らしい感情なんだ
犬や猫は自分から死にたいなんて思わない
人間だけが自分から死ぬことを考える
いわば 君は 今一番人間らしい感情の中で生きていて
言い換えれば それは 生きた♥を持っているという証なんだ
血の通った♥がある限り 人間として終わるはずがない
君が君自身を見限るには まだ早すぎる
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そうして目を閉じると
誰かが優しく君の肩に手を置き 温かな眼差しで見つめていることに気がつかないだろうか
それは神様とか天使とかじゃない
10年後 20年後の君自身だ
死ぬな
あと5年もすれば こんなスゴイ事があるんだぜ?
10年もすれば 今日の日を思い出して大笑いしてるぜ
そんな声が聞こえてこないか?
世界中の誰が見放しても 未来の君は絶対に君を見放さない
誰よりも強く 温かく 今の君を見守っている
そして 応援している
がんばれ くじけるな
お前はきっと やれるはずだ
つらいのは今だけだ
あともうちょっとの辛抱だから
元気を出すんだ
*
そう励ます声が聞こえないか?
*
この世には 命より 人生より もっと大事なものがある
それは 君自身
君という心の存在
人ひとりの心は 一つの宇宙にも匹敵する
愛 幸福 可能性 さまざまな光に満ちた ひとつの宇宙だ
そんな君の宇宙が消えるということは
この世から一つの可能性が消えることでもある
もしかしたら君は何かを作り出すかもしれないし
誰かを幸せにするかもしれない
君がコンビニで買うペットボトル1本
それを利益にご飯を食べている人だってある
君は必ずどこかで役に立っている
特別必要とされなくても 君なしの世界はあり得ない
それと同じように
君もいつか世界から素晴らしい贈り物を受け取る日が来る
君が世界との関わりを永遠に断ちさえしなければ
*
君を誰よりも深く見つめているのは 君自身だ
親とか友達とか恋人とかじゃない
だから 死にたくなったら 君自身とようく相談してごらん
そして 10年後の君に話しかけてごらん
今日 死んじゃっていいか?
お前 ほんとに 困らないか? って
もし どこかで 10年後の君が引き止める声が聞こえたら
死ぬのはもうちょっとだけ待ってみよう
そして 明日ももう一度 同じことを聞いてみるといいよ