人間関係を円滑に運ぶコツは、適切な心の距離を置くことです。
近すぎてもいけないし、離れすぎてもいけない。お互いにとって、プレッシャーにならず、また薄情でもない、程よい距離感が好意を長続きする秘訣です。
親子関係にも距離は必要です。常時、世話が必要な幼児ならともかく、思春期にもなれば、自分の空間、自分のプラン、自分の好みなど、全てにおいて親の指示より『自分』が優先されるようになります。必要以上に踏み込めば、不愉快に感じるのは、大人も子どもも同じです。
どうしても子どもにかかずらうようであれば、親も自分の事にフォーカスしましょう。
それは子どもを無視して、自分の事だけすればいいという利己主義とは違います。
自分にフォーカスする意味は、これまでの自分自身を振り返り、まずは自分の人生をきっちり生きるという意味です。
たとえば、いくら愛妻家でも、朝から晩まで妻にべったりで、「今日は何をした」「誰と会った」という詮索はもちろん、「髪型はこうした方がいい」「料理はこう作った方がいい」等々、細かい事まで指図されたら重いですよね。趣味や生き甲斐は無いのかと、問い詰めたくもなるでしょう。
親子関係もそれと同じで、子どもが趣味か生き甲斐みたいに始終べったりされたら重いです。まして髪型や友だち付き合いなど、細かなことまで指図されたら反発もするでしょう。
子どものやること、なすこと、気になったら、一度、自分自身の人生をじっくり見つめ直してみましょう。
空しさや劣等感など、本来、自分が克服すべき問題を子どもに重ね見て、子どもを通して解決しようとしていませんか。
自分は一流大学に落ちて惨めな思いをしたから、子どもは絶対一流とか、自分自身に胸を張って語れるものがないから、子どもを使って周りに自慢しようとか、自分が克服すべき問題を子どもに託せば、子どもも人生のプレッシャーに感じます。自分が頑張れば、親を救えると勘違いし、必要以上に頑張ってしまうのです。
しかし、それでは不幸が連鎖します。
あなたの人生の問題は、あなた自身で解決しなければ、意味がありません。
子どものことはいったん横におき、自分自身と向き合いましょう。
自分自身の目標は何か、自分の人生で何を成したいのか、何がどうなれば満足するのか、一番大事なものは何か、今まで後回しにしてきた問題を自分自身で解決しましょう。
親が自分の心の問題にフォーカスすれば、子どももその変化を敏感に感じ取ります。
あなたが自分自身と謙虚に向かい合う姿勢こそが、子どもにとって最良の手本ではないでしょうか。