世界を救う第五の要素 映画『フィフス・エレメント』 & エリック・セラの『Little Light of Love』

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世界を救う第五の要素 映画『フィフス・エレメント』

作品の概要

フィフス・エレメント(1997年) – The Fifth Element

監督 : リュック・ベッソン
主演 : ブルース・ウィリス(ダラス・コーベン)、ミラ・ジョヴォヴィッチ(リー・ルー)、ゲイリー・オールドマン(ゾーグ)

フィフス・エレメント (字幕版)
 フィフス・エレメント (字幕版)

あらすじ

1914年、エジプトのピラミッドで世界を救う第五の要素『フィフス・エレメント』と、その鍵となる四つの石が発見されるが、邪悪な者から守る為、宇宙から飛来したモンドシャワン人によって持ち去られる。
2263年、邪悪な生命体『ミスター・シャドー(暗黒のエネルギー体)』が地球に忍び寄り、全ての生命を吸い尽くそうとしていた。モンドシャワン人から使命を受けたコーネリアス神父は、『フィフス・エレメント』を受け取り、地球を救おうと試みるが、モンドシャワン人とフィフス・エレメントを乗せた宇宙船は、凶悪なマンガロワ人の攻撃を受けて全滅してしまう。
統一宇宙連邦大統領リンドバーグは、回収された細胞からフィフス・エレメントの復元を試みるが、ポッドで復元されたのは、リー・ルー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)という美女だった。だが、リー・ルーは直ちに逃走し、コーベン・ダラス(ブルース・ウィリス)が運転するタクシーの真上に墜落する。
コーベンはリー・ルーに協力し、コーネリアス神父と合流。モンドシャワン人から四つの石を托された歌姫から、コンサート会場で受け取ろうとするが、マンガロワ人と結託して、世界の破壊を試みるゾーグ(ゲイリー・オールドマン)に妨害される。
コーベン、リー・ルー、コーネリアス神父は命からがらナイルの神殿に辿り着くが、四つの石はびくともせず、ミスター・シャドーはすぐそこまで迫っていた。
彼らは石の謎を解き、地上最強の武器、フィフス・エレメントを起動することができるのか……。

見どころ

本作の魅力は、SF映画の金字塔ブレードランナーを彷彿とする、ダイナミックで、カラフルな未来都市と、ジャン・ポール・ゴルチェの斬新な衣装だろう。
今となってはCGの古さは否めないが、立体コミックのようにユニークな造形は白眉のもの。美術が好きな人なら十分に楽しめると思う。

世界を救う第五の要素とは

リュック・ベッソン監督が子供時代から温め続けた企画だけあって、全編、お伽噺のような作りである。

登場人物は、悪役といえども、どこか間抜けで、お茶目だし、地球の存亡をかけて戦うはずの統一政府も、まるで緊迫感がない。

アクションも、ブレードランナーのようなハードSFではなく、アメリカン・コミックのようだし、重厚なテーマを期待して見れば、肩透かしに合う作品だ。

とはいえ、ブルース・ウィリスのガン・アクションは流石だし、ファッション界の鬼才、ジャン=ポール・ゴルチエが手がけた衣装は見ているだけで爽快だ。

ついで言うなら、リドリー・スコットのホラーSF『エイリアン』で、冷酷なアンドロイドを演じたイアン・ホルムが、本作では茶目っ気たっぷりのコーネリアス神父を演じているのも一興である。

だが、特筆すべきは、バイオハザード・シリーズですっかり人間離れしたミラ・ジョヴォヴィッチが、髪を鮮やかなオレンジ色に染め、もろく、傷つきやすい女戦士をキュートに演じている点だ。(ちなみにベッソン監督は、この作品を機に彼女と結婚したが、数年後に離婚している)

ジョヴォヴィッチはモデル出身だけにスタイルが抜群にいいし、身のこなしも猫のようにしなやかで、清涼とした色香がある。

笑顔の可愛いリー・ルーを演じたジョヴォヴィッチが、バイオハザード・シリーズで、あんなアクション系の女優さんになるとは夢にも思わなかったので、私としては少々残念な気分だが、ぶりっこキャラで売るよりは、あの抜群のプロポーションとネコ科の美貌を活かしたコミック系の役柄を演じる方が似合っているのかもしれない。

映画としては、100億円の予算をかけた割には、話が小粒で、「映画を見せるための映画」に終ってしまった感があるが、ユニークな未来都市とジャン=ポール・ゴルチエの衣装だけでも鑑賞に値する。

世界を救う『第五の要素(フィフス・エレメント)』が『』という設定も、ベッソン監督らしい。

ちなみに、この作品も、1995年に制作された押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』にインスパイアされた――と一部では言われている。 

たとえば、リー・ルーが高層ビルから飛び降りる場面(攻殻機動隊のOPでも草薙素子が高層ビルの屋上から降下する)や、細胞から人間を再生するアイデアなどだ。

↓ リー・ルーの再生場面は、今見ても美しい。

最近、何かと政治色や精神性を持ち込む作品が多いが、本作のように、ひたすら「娯楽」に徹する作品も有り難い。

80年代から90年代の傑作を乗り越えようとして、小難しい理屈を持ち込む気持は分かるが、その手の作品はヒューマンドラマでお腹いっぱいだし、スクリーンの前であれこれ考えさせられるのも疲れてしまう。特にSFアクション系は。

『エイリアン』にしても、『スター・ウォーズ・旧三部作』にしても、レジェンドとなり得たのは、うるさい制約もなく、各方面への忖度もなく、自分の思い描く世界を存分に具象化する精神風土に恵まれたからだろう。

近年は視聴者も一斉に動画配信に流れ、80年代から90年代にかけて連発した、いわゆる『大作』というものは生まれにくい時代だが、「映画は面白ければ、それでいい」の精神を今一度取り戻してもらえたら――と心から願う。

21世紀の映画を面白くする『第五の要素』は、現状に逆らう勇気かもしれないね。

エリック・セラの音楽と主題歌『Little Light of Love』

本作は、リュック・ベッソン監督の作品に欠かせない、エリック・セラの音楽も素晴らしい。

特にテーマ曲の『Little Light of Love』の美しさは白眉のものだ。

歌詞にも、リュック・ベッソンの世界観がぎゅっと込められている。

要約すれば、「私は小さな愛の光から生まれてきた。はかなく、頼りなげではあるけれど、私はそれを信仰(faith,religion)によって守り抜こう、夜の闇を超えて、世界を照らし続けよう」という祈りの歌です。

From a little light of love
I was born and in my cry, my cry
Was a little light of love
For the honoring of life
And in the pharoahs of my soul is this light of love
Precious little light of love

There’s a candle burning on
In the breezy shades of night
I keep up my faith and underset my hope
To call the realm of light
I treasure your shimmer
In the middle of the shady desert
Bring on a field of light
Little light of love
Fairy light of love

Only one religion
Will lead us through the love we aim for
Over the dark illusions
Of the warring nations
When I think what leads to power
The destruction glorified higher
And when the war is nearly over
How come the leader’s held in high honors?

Would you die, for their lie?
Their greedy hunting cry?
Rely on your light, it’ll all be fine

Little light of soul religion
Well a little light of love
Little light of soul and freedom
just a little light of love

もう一つ、有名なのが、四つの石を托された歌姫のオペラ。

ドゼニッティの名曲「ランメルモールのルチア ~ディーヴァ・ダンス~」にのせて、オペラの舞台とリールーの戦闘シーンが巧みに組み合わされています。

サントラの解説によると、歌声は、本職の歌手の音声を機械処理したものだそう。

アルバムの全曲は、Spotiryで視聴できます。

『V』にはいい言葉がたくさんある

『フィフス・エレメント』の台詞をモチーフとしたエッセーです。
ゲイリー・オールドマンはこちらの作品にも出演しています
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愛に飢えたドラキュラをゲイリー・オールドマンが熱演。ウィノナ・ラダーとのラブシーンも美しいです。
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ビョークの映画音楽に関連して、『レオン』も少し紹介しています。
誰かにこっそり教えたい 👂
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