希望をなくしそうな人へ
このページを開いたあなたはいま、暗闇の中にいます。
あなたはいま、たいへんつらく、苦しい思いをしていることでしょう。あなたが思っていたほど、夫や恋人との仲がうまくいっていないのかもしれません。あるいは、「この人とはうまくやっていけない」と、あなたが思いはじめているのかもしれません。
さもなければ、あなた方のどちらかが、あるいは双方が、人生における大きな試練を体験しているのかもしれません。
さあ、ここで少し立ち止まり、深呼吸をしましょう。そして、これまで頑張ってきた自分を褒めましょう。お茶をいれ、自分に同情してください。あなたはこれまで、ほんとうにつらい思いをしてきましたね。それでもあなたは、信頼している友人や愛する人に、そんな心情を吐露したことがないのではありませんか?
自分が悩んでいること、苦しんでいることを誰かに知ってもらうと、それだけでホッとし、自分が認められたような気がするものです。心を許せる人に、ぜひあなたの心の内を伝えてください。それがすんだら、この苦難のときの記憶をしっかりと胸に刻み込んでおきましょう。そして今度は、そこから脱け出す準備をしてください。
「出口のないトンネルはない」
「明けない夜はない」
この二つの事実をおまじないのように唱えましょう。それだけで、希望が少し湧いてくるはずです。
日々、人生は脈動しています。人生にはリズムがあります。
息を吸い、息を吐く。心臓の弁が開き、閉じ、鼓動する。同じように、悪いことのあとには必ずよいことが起こります。死のあとには新しい生命が生まれます。そして、もっとも空が暗くなり、漆黒の闇に包まれるのは、常に夜明けの直前なのです。
どうか、安心してください。あなたの前には、もっと楽しい時間、もっと快適な時間が広がっています。いま体験しているつらい時期が永遠に続くことなどないのです。
こんなときこそ、自分に、そして夫や恋人に、もっとやさしく接しましょう。
この時期を乗り越えるためです、思い切って貯金をおろして、自分のためにちょっとした贅沢を楽しむのもいいでしょう。ショッピングや旅行をしたり、おいしいものを食べに行ったりしましょう。好きな作家の本を買い、好きなアーチストのCDを買いましょう。
自分の世話をすること、自分を大切にすることを忘れないでください。きちんと食事をしてたっぷり睡眠をとり、避けられるプレッシャーは避けましょう。そして、夜明けが近いことを忘れないよう、暗くなったあなたの心の中のキャンドルに灯をともしましょう。
これから、あなたと彼との関係がどうなるのかはわかりません。
二人の関係はこのまま続くのかもしれませんし、終わってしまうのかもしれません。しかし、いずれにしろ、そこからまた新しいものが始まるのです。
ただし、いまは行動を起こす時期ではありません。自分が暗闇にいることを否定したり、暗闇に抵抗したりせず、自分がいま暗闇のただ中にいることだけを理解してください。
そして、時が経つのを待ちましょう。光はすぐ目の前にあるのですから。
出典 : 出口のないトンネルはない ~希望をなくしそうな人へ 『恋に揺れるあなたへ 56の処方箋』より
【コラム】 人生の大局を見る
祝福を受けよう ~まさに祝福されようとしている人へにも書いているように、幸福とは変化そのものです。
その中には、冬の時代も、暗黒の夜も、含まれます。
浮気男に騙されて大失恋した人が、三年後には運命の人にめぐり会い、幸せな結婚をするように、幸せになるためにはどうしても必要な冬の時代があり、それを否定して、投げ出すことは、その先にある幸福もなげうつのと同じです。
喩えるなら、冬の時代、枯れ木みたいになった桜の木をばっさり切り倒してしまうのと同じです。
「花をつけない桜は死んだも同じ」
本当にそうでしょうか。
死んだように見えても、土の中の根っこは栄養をどんどん吸収して、春の開花に備えています。
それなのに、枯れ木みたいな部分だけ見て、「こんな桜はダメだ」と切り倒してしまったら、それこそ二度と花を咲かせることはないですね。
冬の時代も、暗黒の夜も、誰にとっても辛いものです。
渦中にいる時は、この暗黒の時代が永遠に続くように思い込んでしまいます。
しかし、幸福とは変化そのものと思えば、受け止め方も違うのではないでしょうか。
冬の時代を抜けるまで、数年、時には十数年かかることもありますが、完全に抜けきって、幸せを掴んだら、辛かった時のことなど思い出しもしないもの。
その日が来るまで、どうか耐え忍び、大きな花を咲かせて下さい。
Darkness 恨みと怒りは暗黒期を長引かせるだけ
この章の原題は、Darknessです。
darknessには、「暗さ」「闇」「神秘」「邪悪」「無知」といった意味があります。 [ジーニアス英和辞典第5版]
たとえば、失恋、失業、病気、他人の嫌がらせなどは、暗黒期の象徴みたいなものですし、あれこれ長引いて、なかなか抜け出せない人もいます。
一方、Darknessは、「内面の闇」の意味もあり、人が本当に辛いと感じるのは、「あの人が許せない」とイライラ・ムカムカする自分自身ではないでしょうか。
容姿や才能のコンプレックスは、それ自体は大した問題ではなく、それを馬鹿にした人への恨み辛みの方がはるかに深いものです。
いわば、自分で自分を毒している状態ですね。
そういう意味でも、闇は早く抜けた方がいいし、どれほど苦難の時も、心を明るく保つ工夫が不可欠です。
先のことは誰にも、何も、分からないけど、「あの人が許せない」とイライラ・ムカムカするよりは、「それより自分と仲好くしてくれる人を大事にしよう」「私はあんな意地悪な人間にはならない。どんな時も感謝の気持ちを忘れずにいよう」という心がけの方が、きっと幸せに近いと思いますよ。