映画– category –
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猿の惑星 : 聖戦記 ~言語能力の喪失が人類を滅ぼす
人間との戦いは激化の一途を辿り、シーザーは猿仲間を安全な場所に移そうとするが、マロリー大佐に家族を殺され、復讐の旅に出る。新三部作の最終章は全編モノトーンの演出で、シリアスな内容だが、良心の呵責に苦しむシーザーの内面にフォーカスし、一大叙事詩にふさわしい作品に仕上がっている。 -
貧しい村にも銃がある 娯楽系アクションの見本のような映画『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』
アフリカの奥地に消えた甲鉄艦テキサスの謎を追うトレジャーハンターと、未知の感染症に立ち向かう女医エヴァが巨大な陰謀に巻き込まれ、サハラ砂漠で活躍する痛快アクション娯楽大作。 -
社会正義とは相対的なもの ペルー日本大使館占拠事件と映画『ベル・カント とらわれのアリア』
若者ゲリラによるペルー日本人大使館占拠事件は全世界に衝撃を与えた。しかし銃を手にした若者は貧困と開発の犠牲者でもあった。あの時大使館で何があったのか。ゲリラのために涙した人々の水面下の事情を描くヒューマンドラマと「正義」に関するコラムを掲載。 -
若者に幸福な朝は訪れるのか 今宵の愛を歌う『トゥナイト』と『ウエスト・サイド・ストーリー』
昭和の名作ミュージカル『ウェストサイド物語』を色彩感あふれる映像で現代的にアレンジしたスティーブン・スピルバーグ監督の傑作。アカデミー賞を受賞した圧倒的な群舞に目が釘付けになる。今この時代古典的な恋を描いた監督の意図は何だったのか。象徴的なエンドロールを中心に解説。2021年と1961年の群舞の違いを動画で紹介。 -
獣性という名の悪魔 映画『蠅の王』(1990年)
無人島に不時着した少年たちが次第に人間性を失い、逆らう者を襲撃するようになる。現代文明との対比が素晴らしい。大人不在の子供社会の異様さを如実に描く衝撃のドラマ。 -
映画『ファム・ファタール』運命の女とショパールの蛇
この記事にはエロティックな描写が含まれます。年少者はご注意下さい。 ファム・ファタールの魅力 世界的名画という訳ではないけれど、見終わった後、いつまでも不思議な余韻が続いて、忘れられなくなる映画がある。 2002年に公開されたブライアン・デ・パルマ監督のエロティック・サスペンス『ファム・ファタール』もその典型で、TV放送でち... -
本当の『鬼畜』は誰? 松本清張の描く「子捨て」と「子殺し」
愛人と生活費で揉めた宗吉は三人の子どもを押しつけられ、妻・お梅の怒りを買う。途方にくれた宗吉は子どもを捨てることを思い付く。宗吉とお梅も人面獣心の鬼畜かもしれないが、幼い三人の子どもを置き去りにした愛人・菊代はどうなのか。松本清張の小説の抜粋と併せて紹介。 -
戦後日本の宿命と社会の不条理を描く 森村誠一『人間の証明』
八杉恭子に人間の心が残っているなら、必ず自白するはずだ。戦争直後の混乱と貧困を背景に、人種差別や階級格差を描いた本作は、単なる推理劇にとどまらない重厚かつ社会的な人間ドラマ。 -
走れ風と共に ~三浦友和との恋が美しい 山口百恵のドラマ『赤い衝撃』の挿入歌
今は伝説中の伝説となってしまった、山口百恵さん。 その人気に拍車をかけるように製作されたのが、ゴールデン・コンビと呼ばれた三浦友和さんとのTVドラマ「赤いシリーズ」です。 当時、私は、百恵ちゃんにそれほど興味がなかったので、初期の「赤い運命」も「赤い疑惑」も見ていないのですが、1976年に製作された「赤い衝撃」だけは、ヒロ...