漫画・アニメ– category –
昭和漫画の名作レビューです。池田理代子、竹宮恵子、池上遼一、原哲夫あたり。
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姉妹という半身 ~萩尾望都の傑作マンガ『半神』
シャムの双子ユージーとユーシーは身体の半分が繋がっている。優秀でしっかり者のユージーは知能的に劣った美しい妹ユーシーの面倒を見るが、心の中では不満を抱えていた。やがて分離手術が行われ、ユージーは美しい娘に成長するが、切り離されたユーシーは痩せ衰えていく。姉妹の葛藤を描いた萩尾望都の名作。『』 -
オタクとマニアとファンの違い
わいわいするのが好きな『ファン』、収集そのものが楽しい『マニア』、一枚の絵に恋をして、人生まで変えるのが『オタク』それぞれの違いを解説。オタクは存在自体が大きなポテンシャルであるというエッセーと併せて。 -
MAD MAX とパクリと北斗の拳
『北斗の拳』の原作者である武論尊と原哲夫先生を掴まえて「マッドマックスをパクりましたね」という人は皆無でしょう。 あの作品にインスパイアされて北斗の拳が生まれたのは誰もが知ってる話だし、先生自身も公言されている。 マッドマックスだけでなく、ケンシロウ=ブルース・リー、ユダ=ボーイ・ジョージ、ファルコ=ドルフ・ラングレ... -
テクノロジーによる格差社会を描く『銀河鉄道999』~永遠の命(機械の身体)を求める人は案外幸せなのかも
『銀河鉄道999』では機械化人間が永遠の命を得るが、それを欲する人は幸福な人ではないかという心のコラム。テクノロジーの発達による格差の拡大に関する社会的考察と併せて。『銀河鉄道999』が描く格差社会 / スティーブン・ホーキングの「技術による格差」 -
魔夜峰央のパタリロは究極の二次創作(褒め言葉) / 貪欲で博識だった昭和の少女漫画ファン
『宝塚』『風と木の詩』『ポーの一族』をはじめ、古今の文学や史実をモチーフとした知的なギャグ満載の昭和コミックの傑作。貪欲で博識な少女漫画ファンが二次創作的に楽しみ、感動を共有した背景を解説。元ネタの分かるオールドファンが失われていってるのが淋しい。 -
大人の優しさって何だろう 『秘密戦隊ゴレンジャー』 ユニークな仮面怪人と制作裏話
昭和の子供を熱狂させた戦隊ものの元祖。『ストーブ仮面』や『パイナップル仮面』など毎回ユニークな仮面怪人が登場し、制作スタッフの熱意と気づかいが伝わってくる。解説本『ゴレンジャー大全』のインタビュー記事には役者やスタッフの子供に対する気づかいが感じられる。コラム『大人の優しさって何だろう』と併せて。 -
竹宮恵子の漫画『風と木の詩』と非実在青少年の性愛について / 性的描写と物語における必然性
少年同士の性的表現で知られる『風と木の詩』は恋する者の心情を描いた名作である。絵だけを取り上げれば不健全とみなされかねない。創作物における性的表現と、物語における必然性について考察するコラム。漫画のあらすじと見どころも紹介しています。 -
灰も残らぬほど創作に燃えて ちばてつやと『あしたのジョー』感動のラスト秘話
自分を懸けられる「何か」が見つかった時点で、人生は成功したも同じ -
水島新司先生の訃報に寄せて ~お父さんの居場所と子供の遊び場もなくなった
昭和の時代、家庭と子供社会の中心に野球があり、水島漫画があったことの思い出話です。今は父親も定時で帰らなくなり、子供の遊び場もなくなった。 -
人間の生き様を熱く語る名セリフの宝庫 少年漫画『愛と誠』(梶原一騎 / ながやす巧)
人を愛することだけはこの世を支配する法則とは別世界のものです。この世の法則――それは人間が幸福に生きていくことです。美貌の財閥令嬢と三日月傷のアウトローの心の闘いを描いた青春アクション巨編。投げナイフ、影の大番長、君の為なら死ねるの岩清水君など、脇の魅力も素晴らしい。 -
『北斗の拳』名言集 ~『兄弟ならば違う道を歩め』『きょうだいは平等に愛せるか』『ラオウが教えてくれたこと』
ラオウ、リュウケン、ユダ、ケンシロウらのお気に入りの台詞を紹介。兄弟喧嘩をテーマにしたコラム『兄弟ならば違う道を歩め』『きょうだいは平等に愛せるか』『ラオウが教えてくれたこと』を掲載。 -
漫画『DEATH NOTE』 なぜ人を殺してはいけないのか
DEATH NOTEによって死神の力を手に入れた優等生・夜神ライトは、世直しと称して悪人の削除を繰り返すが、最後は手当たり次第に邪魔な人間を抹殺する大量殺人犯となる。「非凡な人間は法をも超える権利を有する」というドストエフスキーの『罪と罰』の世界観を交えながら、人が一方的に人を裁くことの危うさを説くコラム。『 優れた人間が悪い人間を削除していい、という考え方』『ライトの考えは独裁と同じ』『裁きは神の領域 ~神だけが本当の善悪を知っている』 -
酒の飲み方は『あぶさん』に教わった ~水島新司の傑作野球マンガの思い出
野球漫画『あぶさん』を読み始めたのは親戚宅の「エロ本の間」で見つけた単行本がきっかけだ。サチコと結婚したのをきっかけに読むのを止めてしまったが、あぶさんは小学校時代のヒーローであり、上手な酒の飲み方を教えてくれた師匠でもある。作中でも登場する『升酒』と『母子酒とあぶさんの名前の由来』を紹介。 -
池上遼一の耽美コミック傑作選 『肌の記憶』/ 禁欲と抑制の隙間からあふれ出すエロス
悪と快楽が蠢く上海で上流夫人の雅子は泣き息子に瓜二つの少年を世話係に雇い入れる。夫不在の淋しさを癒やすように少年を求めるが、その正体は……。耽美と官能が渦巻く珠玉の短編集。勝目梓の解説『完結と象徴性』、コラム『禁欲と抑制の隙間からあふれ出すエロス』 -
池上遼一が描く艶やかな文豪の世界 『近代日本文学名作傑作選』/ 地獄変、お勢登場、藤十郎の恋、松風の門、天守物語
心卑しい天才絵師が、帝から命じられた「地獄変」の屏風絵を完成させるため、「世にも美しい女が火に焼かれて悶え死ぬところが見たい」と申し出たところ、帝の計らいで実現する。だが、絵師の目の前で火にかけられたのは、なんと彼が心から愛する一人娘だった……芥川龍之介『地獄変』をはじめ、日本文学の名作を官能的に描いた珠玉の短編集。巻末の中島梓氏の書評の紹介と併せて。 -
子育てとは子供時代をもう一度生き直すこと 映画『ファインディング・ニモ』
「親になるということは、子供の気持ちと、親の気持ちと、両方わかることなんだ」 アンドリュー・スタントン監督の言葉をテーマにした子育てコラムを掲載。 映画のあらすじと見どころを併せて。 映画『ファインディング・ニモ』 あらすじと見どころ ファインディング・ニモ(2003年) ー Finding Nemo(ニモを探す) 監督 : アンドリュー・... -
『さじ加減』という思いやり ~劇画『ザ・シェフ』と調味料
手塚治虫の「ブラック・ジャック」を彷彿とさせる、ニヒルな天才調理師・味沢匠が卓抜した料理で悩める人々をちょっとばかり幸せにする人気劇画『ザ・シェフ』。 ザ・シェフ 大合本版 10 Kindle版 謎の天才シェフ味沢匠。彼は高額のギャラと引き換えに人の人生まで変えてしまうほどのレシピを作り上げる。なぜ、彼の料理はそれほどの力を持つ...