文学・哲学– category –
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谷川俊太郎の詩集『空の青さを見つめていると』『魂のいちばんおいしいところ』より
谷川俊太郎の初期の詩集『空の青さを見つめていると』『魂のいちばんおいしいところ』に収録されている詩を紹介。私と世界の関わり、実存主義に関するコラムを掲載。 -
だるまどん(父)の優しさ 絵本『だるまちゃんとてんぐちゃん』
だるまちゃんとてんぐちゃんは大の仲好し。てんぐちゃんが可愛い靴や帽子を被っているのを見て、だるまちゃんも同じものを欲しがります。子の願いに応えようとする父の愛を描いた名作の魅力を紹介。 -
「男がほんとうに女に贈り物をしたいと思ったら結婚するものだ」 ココ・シャネルの名言より
「結婚してるのと、してないのと、何がどう違うというんだ?」最初の愛人エティエンヌの言葉にシャネルは女の哀しい宿命を思い知らされる。それをバネに真の自立を目指し、自身のファッション・ブランドを立ち上げるが、深く愛し合ったアーサー・カペルにも結局は裏切られてしまう。シャネルの数々の名言と生き様を著書と映画を通して紹介。 -
加藤諦三の『愛される法則 ~愛はこんな小さなことで確かめられる~』
心理学者・加藤諦三氏が若い女性向けに書き下ろした『愛』にまつわるエッセー。あなたが生き辛い理由を分かりやすく読み解く。本当の癒しは、自分を直視する痛みを伴うもの。 -
新たなる海 ・ニーチェと命の詩
今は、書を閉じて、バレンタインを君と祝おう。私の青春を支えてくれた、「ツァラトゥストラ」と共に。『のぼれ、のぼってこい、お前、偉大なる正午よ──』その陽の中に、ハート型の輝きがある。 -
土木は国家の礎 宮崎学の著書『談合文化』 ~日本を支えてきた『人』の力
昭和においては談合は悪とされてきたが、反面、職人を育て、技術の質を確保するシステムでもあった。宮崎勤氏が建築・土木業界の崩壊のプロセスを分かりやすく解説。日本の産業全体の問題点を指摘する良書。 -
『かもめのジョナサン』と群れを愛そう ~孤高と孤立の違い
かもめのジョナサンは漁港と岸の間を往復する生き方に疑問を抱き、一人で極限速度を目指して群れから追放される。やがてジョナサンは飛行法を極め、最高の生き方を伝授したいと願うが、群れに無視される。一方、ジョナサンに共感する弟子たちは彼を神祖と崇め、間違った方向に突っ走る。現代の自己啓発ブームの先が駅となった小説を五木寛之が鋭く分析。本作の危うさと若者心理に関するコラム。 -
地獄という芸術 遠山繁年の絵本『蜘蛛の糸』(芥川龍之介)
芥川龍之介の名作『蜘蛛の糸』を遠山繁年の色彩鮮やかな絵画で綴る絵本。本作に描かれた地獄とは何か、蜘蛛の糸を伝ってきた何万の罪人は救われるのか、なぜ地獄の絵は生き生きと描かれるのかを考察したコラム。 -
にほん昔話と日本人の懲罰好き ~悪者を懲らしめる日本文学 許しか嗤いに走る海外文学
外国の絵本を眺めていて、つくづく思うことがあります。 日本昔話は、やたら懲罰的なストーリーが多いということ。 『かちかち山』『おむすびころりん』『さるかに合戦』『はなさかじじい』『舌切り雀』……etc。 いずれも「良いおじいさん(おばあさん)」と「悪いおじいさん(おばあさん)」が登場して、最後は必ず悪い人が懲らしめられます... -
死を受容する必要なんか、ない 渡辺淳一の医療小説『無影灯』
難病に苦しむエリート医師と看護婦の恋を描いた『無影灯』は渡辺淳一氏の死生観や医療観が色濃く反映された医療小説。がん患者に告知することは正しいのか。優しい嘘をつくことが患者の救いになることもある。末期医療の在り方に一石を投じる傑作。医療コラム『がん告知 ~優しい嘘が患者を救うこともある』 -
曙光と落日 廻る光の哲学とニーチェ
今にも落ちそうな陽に、哀れを感じたことはありませんか? 西日の強さにうんざりさせられたことはありませんか? 私はどうしても『沈む陽』の気持ちが分からなくて、西の空を燃えるような赤や黄金に染める太陽に、何度も問いかけたものでした。 -
早坂茂三の著書「鈍牛にも角がある」「オヤジとわたし」
奇蹟の秘密は何か。政治音痴の日本人のなかで、角栄だけが政治を理解していたからである。人間洞察の深さにおいて桁違いであったからである。 -
饗庭孝男『フランス 四季と愛の詩』 詩と写真で感じる大人の絵本
フランス文学の評論で著名な饗庭孝男氏の名著(絶版)から「恋する女の存在の不安は、たえず相矛盾する極から極へ移ることから生じる。愛は生から死へ、歓喜から涙へ、苦しみから安らぎへ、至福から絶望へと絶えず詩人を揺り動かし、片時も休むことがない」等の抜粋と、フランス語の原文とフランスの美しい風景写真から構成される本の一部を写真付きで紹介。 -
江戸川乱歩の『芋虫』~現代の老人介護を想う
時子の夫は戦争で負傷し、手足を失って、芋虫のような寝たきりになってしまう。時子はかいがいしく世話していたが、やがて疲れ切り、暗い感情を抱くようになる。発作的に夫を傷つけた後、時子が目にしたものは……。現代の介護者の苦悩を思わせる壮絶な心理描写と結末が衝撃的な乱歩の傑作。作品をモチーフとした介護コラムを掲載。 -
青春と革命は相性がいい 三好徹『チェ・ゲバラ伝』 ~青春期の情熱と信念を貫いて
裕福なアルゼンチンの家に生まれ、喘息というハンディすらもつチェ・ゲバラは南米の貧困問題や独裁に心を痛め、盟友カストロと共にキューバ革命を達成する。青年期の疑問や情熱を生涯持ち続けたゲバラの生涯と感動的な『別れの手紙』を紹介。優れた言論人であり詩人でもあるゲバラの一面が窺える良書。『フィデル・カストロへの手紙~祖国か死か』『両親への手紙~信念を証明する』『不正に敏感であれ』『青春と革命は相性がいい』 -
『フランダースの犬』に対するベルギー人の価値観
貧乏だろうが、泥棒扱いされようが、十五歳にもなれば、自分で人生を切り開き、逞しく生き延びねばならない。それがベルギー国民の価値観だ。ネロ少年は十五歳の割に自立心に乏しく、”愛犬と一緒に好きな絵の前で野垂れ死に”というのはお粗末な結末らしい。 -
オスカー・ワイルドはFacebookの「いいね」が嫌い
オスカー・ワイルドがSNSをやっていたら、たくさんの「いいね!」にかえって恐怖を感じ、アカウントを閉じてしまうだろうというお話。周囲の安易な賛同は時として自分を見失わせます。 -
側溝男と江戸川乱歩の『人間椅子』 フェチズムの極みは一体化
作家・佳子は不思議な手紙を受け取る。そこには椅子の中に潜んで人間の感触を愉しむ『人間椅子』の愉悦と恋が書き綴られていた。人間椅子の恋の相手が自分と気づいた佳子に驚愕の結末が待ち受ける。椅子と一体化する究極のフェチズムを描いた乱歩の傑作と実在の側溝男の文学的魅力を紹介。 -
海外版青空文庫『Project Gutenberg』無料で原書がDLできる
御存知の方もあるかもしれませんが、海外版の青空文庫『Project Gutenberg』(グーテンベルク・プロジェクト)で古典の名作の原書を無料でダウンロードすることができます。いわゆる、「世界文学」「哲学」の類です。ドイツ語やフランス語もあります。 Project Gutenberg https://www.gutenberg.org/ たとえばオスカー・ワイルドならこんな感... -
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と蠍の火 ~まことのみんなの幸のために
「どうしてわたしはわたしのからだを、だまっていたちにくれてやらなかったろう。こんなにむなしく命をすてず、どうかこの次には、まことのみんなの幸のために私のからだをおつかいください」蠍の願いは燃えるような赤い星に昇華する。慈愛と救済がぎゅっと凝縮された『銀河鉄道の夜』の名場面をアニメと併せて紹介。ブルカニロ博士の削除に関するコラムも掲載しています。