文学・哲学– category –
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三島由紀夫&美輪明宏『黒蜥蜴』妖艶と美麗の極致
美貌の女盗賊・黒蜥蜴と明智小五郎の死闘を描いた江戸川乱歩の傑作。三島由紀夫が戯曲化し、美輪明宏が演じた舞台は耽美の極みであり、妖艶な世界観と流麗な台詞が素晴らしい。特に気に入った部分を紹介。 -
ジレ・ジョーヌを着た『島の馬』(ジャック・プレヴェール)
どこか遠くの島に、ひとりぼちの馬がいる。 馬が草など食べている。そのむこうに一艘の船が見える。それは馬がこの島へ来るとき乗った船で、いずれ帰るときにも乗る船だ。 もともとひとりぽっちの馬ではない。 ほかの馬との付き合いが大好きだから、こうしてひとりでいると退屈でたまらない。 何か、ほかの馬の役に立つことをしたいと馬は思... -
男は知っていることを言い、女は人を喜ばせることを言う 。・゚・(´∀`*)゚・・ ルソーの『エミール』より
ジャン・ジャック・ルソーの名著『男は知っていることを言い、女は人を喜ばせることを言う』をモチーフに男女のすれ違いを考察。男女は決して話し合うべきではないという文芸コラム。 -
『苦労が人間をけだかくするというのは、事実に反する』サマセット・モーム
苦労が人間をけだかくするというのは、事実に反する。幸福が時にはそうすることはあるが、苦労はたいてい人間をけちに意地悪くするものだ。サマセット・モームの言葉より。 -
『耐えるべき時を耐え、攻めるべき時に攻める』 米長邦雄・棋聖の言葉
人間、上手くいかない時ほど、焦って何かを変えようとする。だが考えもなしに次の一手を繰り出しても、決して物事は好転しない。耐えるべき時を見極め、ここぞという時に動き出せる力を己の内側に蓄えることが肝心。 -
詩心がなければ世界は灰色 『葬式に行くカタツムリの唄』ジャック・プレヴェール
死んだ葉っぱの葬式に 二匹のカタツムリが出かける 黒い殻をかぶり 角には喪章を巻いて くらがりのなかへ出かける...そしてカタツムリは何に出会うのでしょうか? ジャック・プレヴェールの優しい詩情が感じられる傑作。 -
幸せ待つ間が「幸せ」 フランツ・カフカの寓話『皇帝の使者』
いつまで待っても現れない皇帝の使者。それは待つ者にとって悲劇なのか。待つ間こそ本当の幸せがあるというたとえ話。カフカの寓話より。 -
松涛弘道『釈迦の名言108の知恵』より ~もっと美しい、ほんとうに尊いものを大切に
「いくら この世が 喧騒と欺瞞にみちあふれていても みんながもっと美しい ほんとうに尊いものが あることを知っている」社会の平和と秩序の根幹を成す美徳を大切にしようという心のコラム。 -
アルベール・カミュと自殺論 ~正論で人は救えるか
2000年の産経新聞に掲載された『10代の声』という投稿より。 人間同士支え合い 自殺を減らそう ー新聞販売店社員 男性 19歳ー 8月18日付本紙朝刊で、自殺者が二年連続で3万人を超えたと報じられた。 少なくとも私には自ら命を絶つことはできない。死ぬ勇気があるなら、もっとほかにできることがあったはずだと思う。…(中略)… いったい死ん... -
新年の夜明けに寄せて『曙光』と『落日』廻る光の物語
東向きの部屋に移り住み、昼夜逆転の生活をするようになってから、夜明けを目にすることが多くなりました。 私はそれまで『日の出』というものを見たことがなく、いつも頭上で燦燦と輝く太陽しか知らなかったのですが、初めて曙光を見た時、胸にしみいるような感動を覚えたものです。 山間を薄紫に染めながら、ゆっくり昇ってくる、生まれた... -
親を捨てよ、町へ出よう ~子供の自立と精神的親殺し
子供が自立するには心理的な通過儀礼としての『精神的な親殺し』が必要であると説いた河合隼雄の著書と『書を捨てよ、町を出よう』『家出のすすめ』といった著書を通して若者の自立を訴えた寺山修司のコラムから。自立と親子関係の考察。 -
『シーシュポスの神話』と『まじめの罠』 努力が報われない時、どうするか
無益で希望のない労働ほど怖ろしい懲罰はない。アルベール・カミュの名著『シーシュポスの神話』と勝間和代氏の著作『まじめの罠』から考察する不条理に対する回答。結局「それでよし」としか言いようがない点に人智の限界を感じるというコラムです。 -
『死』は最後に訪れる救済だから、僕たちはどんな風にでも夢見ることができる ~カフカの日記より
「すでに子供のころから見えていた、いちばん近い逃げ道は、自殺ではなく、自殺を考えることだった」逃げ道のない子供にとっては、死や自殺について空想することが時には心の救いになるという例え話。 -
通りすぎないものもある 村上春樹『風の歌を聴け』
『あらゆるものは通り過ぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風にして生きている』の一文で知られる村上春樹のデビュー作。小説に現実性を求める人にはイライラするかもしれないが、随所に若い感性と洞察が光る印象的な作品。 -
秩序が乱れると組織は機能しない ~野村克也 VS 早坂茂三の対談より
いつか再び、若い世代が戦いの必要性を実感した時、昭和のおとーさん達の硬派な言葉が心に響くかもしれない。ある意味、現代には顧みられぬこれらの本は、未来の悩める若者の為に書かれたのかもしれない。 -
知見は時に絶望しかもたらさない カフカ寓話集『ロビンソン・クルーソー』
もしロビンソン・クルーソーが見晴らしのいい一点に留まり続けていたら、いち早くくたばっただろう――フランツ・カフカの寓話より。よく知ることが必ずしも人間を幸せにするわけではないというコラム。 -
「独身のほうがいいとおっしゃる方は、なかなか考えを変えてくださらないし」ゲーテの『ファウスト』より
逃げるメフィストフェレス。追う乳母マルガレーテ。いつまでも独身の自由を楽しみたい男にとって女が仄めかす「結婚」の二文字は悪魔の囁きかもしれない。結婚をめぐる男女の駆け引きは現代と変わらず、18世紀に男のゲーテがこういう台詞を思い付いたのは作家の妙。 -
『絶望名人カフカの人生論』の概要 ~光がこの世の全てではない
カフカの根暗な言葉ばかりを集めた『絶望名人カフカの人生論』の内容と感想、カフカのお勧め本やカフカを再読するまでの経緯を綴った文芸エッセーです。 -
疎外する家族と厄介者の息子 グレーゴル・ザムザは本当に『虫』になったのか ~フランツ・カフカ『変身』
朝目覚めるとグレーゴル・ザムザは巨大な虫に変身していた。父には疎まれ、母はおろおろするばかり。厄介者となったグレーゴルは家族に疎外され、一人淋しく死んでいく。ファンタジーでありながら、人間の内面をありのままに描く近代文学の傑作。作品の見どころとカフカの生い立ちに関する解説を紹介。『病気になっても通勤の心配 / 断絶こそ安らぎ / 罪のリンゴ、本音の赤 / 一つの家族が幸福になるには、一人の犠牲が必要』など。プラハのカフカ博物館のギャラリーと併せて。 -
「男がほんとうに女に贈り物をしたいと思ったら結婚するものだ」 ココ・シャネルの名言より
「結婚してるのと、してないのと、何がどう違うというんだ?」最初の愛人エティエンヌの言葉にシャネルは女の哀しい宿命を思い知らされる。それをバネに真の自立を目指し、自身のファッション・ブランドを立ち上げるが、深く愛し合ったアーサー・カペルにも結局は裏切られてしまう。シャネルの数々の名言と生き様を著書と映画を通して紹介。