思想管理にNoと言う『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール Part2』 ~管理は本当に『悪』なのか?

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ピンクフロイドの『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール』について

1979年に発表されたこの曲は、中学生ぐらいの子供が『We don’t need no education (教育なんてされたくない)』と大合唱することから、反社会的だと世間のひんしゅくを買った問題作です。

この曲には、「Part1」「Part2」「Part3」の三種類が存在し、一番有名なのが『We don’t need no education』と歌う Part2 です

ビデオクリップは前置きが少し長いので、曲の始まるところからご覧ください。

こちらはアニメ版。70年代のサイケな雰囲気がよく出ています。

洋楽和訳 (lyrics) めったPOPSさんが詳しい解説をされています(現在、このサイトは非公開)。

http://mettapops.blog.fc2.com

We don’t need no education
We dont need no thought control
No dark sarcasm in the classroom
Teachers leave them kids alone

教育なんてされたくないのさ
思想管理なんてされたくない
教室のなかで暗い皮肉なんて
聞きたくないんだ
先生 子どもたちを放っておいてくれ

Hey! Teachers!
Leave them kids alone!
All in all it’s just another brick in the wall.
All in all you’re just another brick in the wall.

先生たち!聞こえるか!
子どもたちに構わないでくれ!
だって所詮 壁のなかのレンガでしかないんだ
だってあなただって
壁のなかのレンガの一片にすぎないんだ

We don’t need no education
We dont need no thought control
No dark sarcasm in the classroom
Teachers leave them kids alone

教育なんてされたくないのさ
思想管理なんてされたくない
教室のなかで暗い皮肉なんて
聞きたくないんだ
先生は子どもたちを放っておいてくれ

Hey! Teachers!
Leave them kids alone!
All in all it’s just another brick in the wall.
All in all you’re just another brick in the wall.

先生たち!聞こえるか!
子どもたちに構わないでくれ!
だって所詮 壁のなかのレンガでしかないんだ
だってあなただって
壁のなかのレンガの一片にすぎないんだ

めったPOPS

【音楽コラム】 思想管理にNoと言う

『教育なんてされたくない!』と叫ぶ子供たち

上記にあるように、ピンクフロイドの『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール Part2』は、1979年の公開当時から、内容が反社会的だと、世間の顰蹙を買った問題作です。

プロモーション動画のクリップでは、工場で機械部品が製造されるように子供たちが教育されます。

アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール ピンクフロイド

教師は子供たちに「従順であること」を求め、厳しい規律をしく。

アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール ピンクフロイド

やがて子供たちは国家や企業のために生産を続ける「部品」として社会のシステムに飲み込まれ、最後は「個」も「主張」もない挽肉にされる。

アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール ピンクフロイド

自我に目覚めた子供たちは、ついに教室をめちゃくちゃにし、学校に放火する。

アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール ピンクフロイド

その頃、日本では暴走族とかヤンキーとか呼ばれる生徒が校舎をバイクで走り回り、ガラス窓を叩き割ってましたけどね。

ピンクフロイドの世界観とは真逆です。

管理は本当に『悪』なのか

いつの時代も、「管理」や「規律」は『教育の敵』とみなされ、個性重視や自由の尊重が叫ばれますが、果たしてそうでしょうか。

『個性』も『創造性』も、「右向け、右」の号令に従うことができる社会性や協調性があって、初めて開花する能力であり、自由にすれば個性的に育つというものでもありません。

よく「常識の枠組みを超えた」という言い方をしますが、「枠組み」の何たるかを知らない人間に、枠組みは壊せないんですよね。

学校は、社会や人生の基本となる枠組みを教える場所です。

子供の代わりに壊して差し上げるものではありません。

むしろ、枠組みを知ることによって、壊したくなるのが子供というもの。

最初に枠組みを教えることが、逆に、子供の創造性を育むのです。

何の規律も存在しない所に存在する自由は、単なる無法であり、無法の行き着く先は破壊です。

枠組みを超えた個性とは似て非なるものです。

「管理」や「厳しさ」は悪のようにみなされ、実際、そういう部分もあるかもしれないけれど、「きちんと教えられてない子供」というのも、また悲劇です。

「壁のブロックの一つ」にもなれない子供は、ブロックの役にも立たず、ゴミとして社会の隅に捨てられるかもしれません。

ピンクフロイドのビデオクリップのように、最後は工場のシステムに飲み込まれ、みな挽肉にされるのも問題ですが、壁を形作るブロックの一つとして、社会を支える意義も同じくらい大きいのではないでしょうか。

CDとSpotifyの紹介

これも歴史的名盤ですね。最近リマスターされました。

ザ・ウォール(完全生産限定盤)(紙ジャケット仕様) ▼タイトル
今作は1979年作品。ロジャー・ウォーターズがイニシアティヴを発揮して制作された2枚組ロック・オペラ。ウォーターズ自身を投影したと言われる社会から疎外されたロック・スターを狂言回しに、彼が感じるギャップを壁に例えながら人間の心理の奥底深くに迫る。英米のチャートで1位に登り詰めた「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(パート2)」を始め「マザー」「ヘイ・ユー」「コンフォタブリー・ナム」など名曲揃い。全英チャートで3位、全米では15週連続で1位となるなどバンドの真骨頂を世に見せつけたメガ・ヒット・アルバム。 (C)RS

Spotifyでも視聴できます。

Photo : http://pinkfloydarchives.com/DUSLPcom.htm

初稿 2014年9月5日

誰かにこっそり教えたい 👂
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